Jitianさん

 元々文章を書くことが好きなJitian(ジーティエン)さんは、現在LGBT情報サイト・レインボーライフ(https://lgbt-life.com)にてライターとして活動されています。

 インタビューではJitianさんがレインボーライフで連載をもつことになったきっかけから、以前自分のセクシュアリティをカミングアウトしてチャレンジした就職活動などについてもお伺いしました。

きっかけになったエッセイコンテスト念願だったライターの仕事を得る

 もともと文章を書く仕事ができたらいいなと思っていて、ツイッターのアカウントを作ったんです。それでレインボーライフ(LGBT情報サイト)のアカウントを見つけてフォローしていたら、去年の夏くらいにエッセイコンテストがあって。応募したら賞をいただけたんです。その後ライター募集を見かけて連絡したら、是非ということでレインボーライフでの連載が始まったんです。


 仕事でフリーランスの人に発注をする、ということをしているんですけど、それが今度は逆にフリーランスで仕事をする立場になったので、受注側はこういう風にしてほしいんだとかがよく分かって、反省もしました(笑)会社や組織の一員ではなく個人と組織で契約を結んで何かをするっていうのは初体験でしたね。自分でやらなきゃいけないというか、自分でできるというか。レインボーライフでの連載はセクシュアリティに関する常識に疑問を呈する内容を書くことが多いです。

 自分のセクシュアリティであるXジェンダー(男性・女性の性別のいずれでもない)とパンセクシュアル(男性・女性・またそれ以外の性の、あらゆる人々が恋愛対象)を軸に、当事者だけでなくそれぞれの立場の人が今の社会での生きづらさを解消するような内容を目指しています。仕事でなくともセクシュアルマイノリティの人とお話するときはメモをとって、日々何かないかなって探しています。

男性でも女性でもない、性のグラデーション

 幼稚園生の頃、人形やままごとなど女の子向けの玩具や遊びに興味がなくて、あまり女の子と遊ぶのが楽しくなかった古い記憶があります。中学生くらいからは自分の性別も男性ではないから、じゃあ女性かなくらいにしか思っていなかった。初恋で女性を好きになって、自分のことも女性だと思っていたんで、その中で言うとレズビアンなのかなって。その後男性も好きになれるって分かって、じゃあバイかな、ってなっていったんです。

 当時はXジェンダーなんていうものは知らなかったし、セクシュアルマイノリティには「LGBT」しかないと思っていたから。大学は女子大に進みました。周りから見たらそうでもなかったんでしょうけど、自分の中ではだいぶ浮いてましたね。馴染めなかった。異性愛者の中にいるのはしんどかった。そのフリをするのも。恋愛においても相手の性別が限定されないので、限定された前提の質問とかよく分からなくて。男性を好きになるでしょって言われると、そういう場合もあるよ、って。

 ある日ジェンダー論の授業で、男性と女性の間にグラデーションがあるって話を聞いて「どっちかじゃなくてもいいのね!」って気づきました。そもそも自認が男性でもなくて女性でもない、それでも良いんだ、って思ったらじゃあ私はどっちでもない人だ、と。その後にXジェンダーという言葉も知ったんですね。この状態に当てはまる言葉があるのか、ということは一定数似たような感覚をもつ人がいるのかという驚きと安心感がありました。

 それからはXジェンダーの集まりに行くようになりました。Xジェンダーとか、セクシュアルマイノリティの人のコミュニティにいるのが楽だなって。最初は、仲間が見つかった!と安心した気持ちでした。最近は、Xジェンダーと言えどみんな違うなと感じることが多いです。その違いが面白いですね。

自ら挑戦したカミングアウトをしての転職、そしてこれからの新たな挑戦

 去年から一人暮らしをはじめたんです。会社が遠いっていうのが一番大きい理由ですが、親にはセクシュアリティのことを何も言っていないんで、普通っていうのもあれですけど、普通の娘だって思われていて、それに対して「娘じゃない」って思う。それもしんどくなってきたんです。でも一人暮らしをして今は結構満足していますね。

 これからは転職をやってみたいと思います。以前に転職活動をしたことがあったんですが、そのときにカミングアウトをして転職しようって挑戦したんです。面接をする自分を考えたときに、ストッキングとパンプスを身につけなければならないことがものすごく苦痛に感じました。女性じゃない、Xジェンダーです、と公表すれば身につけなくてよくなるのではないかと思いました。


 転職エージェントは2つ利用したのですが、うち一方とは、履歴書の性別欄でもめました。最初は性別欄無記載でいいとのことでしたが、一転して女性に印をつけろと言われ、結果無記載で通しました。メールの文面にも「ジェンダーX」と書かれていて。何だか戦隊ヒーローの名前みたいですよね。

 もう一方は、分からないなりに電話でヒアリングもあって、丁寧な印象でした。面接した企業では、私が特に待遇面で条件を求めたわけではなかったのもあって、詳しく質問してくるところはほとんどなかったです。今思えば、根掘り葉掘り質問するとセクハラ案件と思われるかと懸念したのかもしれません。

 見た目は女子だし、トイレは男子トイレを使いたいとかそういうわけでもないし、段々これ意味あるのかな、みたいになって。現職もなかなか時間がとれないので中断しています。転職は出版業界が本望ですが、出版業界の今後を考えるとなかなか難しいかなと思っています。それならば時間を優先した仕事をして、ちゃんとブログなどを更新したい。

 今関心があって書きたいことは性差別です。ネットなどで性差別に関する意見がよく流れて来るのですが、それを読む度に性差別が解消されると自ずとセクシュアルマイノリティ当事者も生きやすくなるはずだよなあと思います。将来の展望は模索中ですが、何か書きながらゆっくり暮らしたいです。自分の「書く何か」で誰かの心が楽になったらこれ以上のことはありません。

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