
Veilsはどのような作品か
東京で暮らす28歳の女性同士のカップルが、交際5年目の記念にウェディングフォトを撮ろうとするお話です。
キャストやスタッフの中にLGBTQ当事者を含み、それ以外のメンバーもアライを表明しているチームで制作しています。その上で、当事者感情を置き去りにしないよう、様々な世代のカップルさんや当事者の方へも取材を重ねました。些細な日常を描いた18分間の短編作品です。
Veilsを作ったきっかけ
監督が7~8年ぐらい前によく海外旅行をしていて、LGBTQ当事者の友人とたくさん出会う機会がありました。そこで色々な話を聞いていくうちに、日常の中でチクチクと傷付いていることが分かり、いつか物語にできたらと思っていました。
その後、LGBTQフレンドリーなウェディングフォトサロンのecooさんとご縁ができたのも、制作に踏み出す大きな後押しになりました。
Veilsの見どころ
まずは「LGBTQあるある」のようなものを、たくさん詰め込みました。相手からの悪意のない些細な発言で傷つくことについて、身に覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。
あとは、主人公の2人がとあるシーンで偶然、アドブの台詞がかぶった事がありました。是非、どのシーンか見つけてほしいなあと思います。
そして、見どころ …… とは少し違うかもしれませんが、効果音やBGM、主題歌も、この作品の中で流れる音楽は、全て異なるアーティストによる書き下ろし楽曲になっています。シーンでとにピッタリな音が流れていると思うので、そちらにも注目して頂けると嬉しいです。

Veilsと「結婚」
作中の台詞でも少し触れていますが、日本ではまだ、同性同士のカップルは結婚が出来ません。パートナーシップを結ぶ事は出来ても、それはひとつの制度を利用しているだけであって、法的な「結婚」ではないですよね。そして、結婚という道に辿り着くよりも前の段階、この作品のようにウェディングフォトひとつ撮るにしても、実際に当事者として直面してみないと分からないような、まだまだ可視化されていない問題もたくさんあるように思います。そういった問題がひとつずつクリアになって、主人公のあゆみと紗香の2人も、自然体で暮らしていけるような世の中へ変わっていくことを願っています。



Veilsスタッフの皆さんから一言
2022年7月24日(日)、25日(月)、27日(水)、29日(金)の4日間、池袋のシネマ·ロサさんのレイトショーで『Veils』を上映して頂きます。自主制作の短編作品が映画館で上映される機会はなかなかありませんので、とても嬉しく思います。
まだ発表前のものもありますが、現在(2022年)、国内外の映画祭20ヶ所以上でノミネートされていて、今後も各地で上映の機会があるかもしれないので、オフィシャルサイトやSNSをチェックしてみて下さい!
短編映画『Veils』
監督·脚本 なかやまえりか
出演 なかやまえりか、相馬有記実、横山美智代ほか

2022年8月発行雨あがり9号「結婚」掲載