雨あがり

映画コラム【チョコレートドーナツ】

1979年のカリフォルニア、ゲイショーパブでパフォーマーをしながらジリ貧で生活するルディは、客としてきた検事のポールと交際を始める。そのさなか、爆音で音楽を流すなど奔放な生活をしていた隣人が薬物乱用で逮捕され、ダウン症の子どもマルコの身寄りがいなくなってしまう。一度は施設に連れていかれるも、マルコを引き取って育てると決意したルディはポールと協力して一時的に養育権を得る。しかし、3人で楽しい生活を過ごしていたのも束の間、ゲイカップルということに対して沢山の偏見と差別が降りかかり……。
2014年 アメリカ/監督:トラヴィス・ファイン


この作品は、実際にアメリカで「親から捨てられた障害を持った血縁のない子どもと暮らしたゲイ」がいたという話から生まれた映画で、日本で公開されたときにも全国紙でも作品名を見かけるなど結構有名になっていたので、観たことある方も多いかもしれません。てっきり写真の雰囲気や邦画タイトルからほっこりしたお話かと思いきや、結果として相当シビアで悲しいストーリーだったので、鑑賞後はやりきれない気持ちと喪失感が残りました……(あたたかいシーンもあります!)。特に、判事の偏見に満ちた判決文「同性愛を隠さない生き方が普通だと思わせ、子どもを混乱させる」は、LGBTQ当事者の1人としてかなりグサッと刺さりました。物語から約40年、世界はよくなっているはずだと信じたくなるような作品。メンタルが安定しているときの鑑賞をおすすめします。(コラム:Jitian)

2020年2月発行雨あがり4号「告白」掲載