
関西レインボーフェスタをきっかけに出会ったFtMの輝さんとレズビアンだった桃子さん。様々な活動をされているお二人の出会いから、主催された奈良レインボーフェスタについてもお話をお伺いしました。輝さんは来年初の著書「せんせい、ワタシはボクのままでいいですか?」を出版されます。詳細は: http://eveil-jp.net/senseiyoyaku/
二人のセクシュアリティについて
輝:自分は女性として生まれましたが、3歳頃から性別に違和感があり20歳で親にカミングアウトをし、病院で性同一性障害の診断書を貰いました。そして3年前に手術をし、男性として生活をしています。
桃子:私がレズビアンを自認したのは22歳。幼少期から疑問に思っていた感情が恋愛感情だと気付きました。両親に相談すると父が自助グループを見つけてきてくれました。当時の私は知識が全くなく、そこで自己紹介ができないほど自分自身を受け入れられなくて、父が自己紹介から全部してくれました。
そこで仲間ができて、今に繋がっています。輝くんと付き合っても、女性を好きになれることに変わりはないです。でもレズビアンではないから、相手の性別にこだわらないパンセクシュアルに自認が変わりました。
輝さんからの告白
輝:出会いのきっかけは関西レインボーフェスタです。自分はブースを出店し、人の名前を見てインスピレーションで描く筆文字をしていました。そこに桃ちゃんが遊びに来てくれて。奈良在住で活動もしていて、仲良くなりたいと思い連絡をとるようになりました。
桃子:その後輝くん主催の奈良レインボーフェスタのお手伝いを一ヶ月程するようになりました。とても大変な時期でしたが、有意義で濃密な時間となりました。
輝:イベントの一か月前は大変ですが、一緒に乗り越えてくれたのは桃ちゃん。それが自分の中で大きくて、付き合いたいと思うきっかけになりました。自分は桃ちゃんに対して一目惚れに近かったのですが、桃ちゃんはレズビアンだから、自分は恋愛対象ではないと思っていました。ある時、桃ちゃんから長文の連絡がきたことがあって、嬉しくて電話をしてしまって。そこから意気投合して盛り上がり、4時間程話をしました。後日、自分の想いと共に桃ちゃんに告白をしました。桃ちゃんは最初OKをくれたのですが、「やっぱりやめた」と言われて(笑)。条件があり、受け入れてもらえるならOKと言われました。
桃子:私は昔性被害を受け、それによりたくさんのピアスとタトゥーがあります。それらを否定しないことが条件でした。否定されると自分自身を否定された気持ちになります。性被害のことで今でも精神的に不安定にもなります。なので、私じゃない方がいいと言ったのですが、輝くんは受け入れると言ってくれました。
今まで私は普通を求めて男性と付き合ったり、セクシュアリティに悩んできました。でも今は性別関係なく、輝くんだから好きと気付かせてくれたと感謝しています。
ディズニーランドでのサプライズプロポーズ
輝:30歳の誕生日にディズニーランドへ二人で行ってきました。クリスマスディズニーを楽しみ、夜にツリーの前で桃ちゃんにサプライズでガラスの靴と指輪を渡して「これからもずっと一緒にいてください。結婚してください」とプロポーズをしました。

お二人でしたいこと
桃子:ウエディングドレスが着たい!レズビアンを自認した時、結婚も出産も全部諦めて、号泣しました。でも輝くんと付き合って、ウエディングドレスを着れる、結婚ができるという選択肢ができたんです。
輝:自分の場合は今まで付き合った子と、結婚や子供に対する考えの違いで別れを経験しました。でも桃ちゃんとはその点が共通です。
桃子:まず私は、レズビアンと自認してから、結婚も子供も考える事ができませんでした。今は結婚できる可能性があるんだと未来を考える事が出来ています。
輝:あと、お互い子供が好きなので、子供に関わることを一緒にしていきたいと思っています。
いつかお互いの夢を叶えられたら
桃子:私が昔奈良で活動をしていた時、コミュニティの窮屈さにしんどくなり、やめてしまいました。今は二人ならお互い支え合い、活動をしていけると思っています。これからも奈良で居場所作りを継続していきたいです。
輝:自分も結婚は夢なので、いつかお互いの夢を叶えられる日がきたらといいなと思っています。
桃子:私のストレートの友達は年齢や妊娠で結婚を焦っているのですが、私はいつかでいい。今すぐ無理やりではなく、お互いのタイミングがきたらしたいです。
奈良レインボーフェスタを始めた理由
輝:当事者と繋がる事が奈良では難しく、独りで悩んでいる人が多い現状がありました。身近に居場所があるという事を知って貰うきっかけとして、奈良レインボーフェスタやレインボー奈良カフェがあればと思います。気軽に遊びにきて貰って、居場所作りになればいいですね。
桃子:講演活動やイベントは、出会いも楽しい事も沢山あります。が、準備などが大変で、「もうやりたくない」と思うことも正直ありました。でも、輝くんの活動をしているところも魅力のひとつだったので、一緒に頑張ろうと二人で奈良レインボーフェスタを開催しました。イベントの間はカップルではなく、ビジネスパートナー。輝くんのいろんな面を見る事ができていい経験でした。
奈良レインボーフェスタと二人のこれからの活動
輝:奈良レインボーフェスタは2018年初開催で右も左もわかりませんでしたが、来場者は2000人、今年は4000人に増えました。いろんな方に来てもらえて、奈良でも
レインボーフェスタが定着しつつあると感じたし、奈良でやる意味があるということを体感できました。
桃子:今回も意味のある素敵なイベントになりました。次回も奈良でしかできないものの良さを出していきたいです。アットホームな空間で、「あったかくてよかった」と言ってもらえるものにしたいです。
輝:桃ちゃんと去年からレインボー奈良カフェというコミュニティスペースを続けていて、これからも様々なイベントを奈良で続けていきたいという話をしています。ゆくゆくはレインボーハウスのような、みんなが集まれる居場所を拠点に何かできたらと思います。
桃子:私はクローズにしている人ではなく、オープンにしている人とお付き合いしたいという想いがありました。輝くんのようにオープンに生活している人と一緒に活動ができるのは魅力ですね。
お二人から一言
輝:奈良レインボーフェスタに来てほしいです!地方にも当事者がいて、集まれる居場所があるんだと、勇気を出して遊びに来て貰えたらと思います。自分も奈良には当事者がいないと思っていましたが、沢山の方々が奈良レインボーフェスタに来てくれて、奈良でこんな光景を見ることができるんやなと感じました。
桃子:私の妹はストレートで、結婚も出産も経験していています。私のセクシュアリティをどう思っているのかは内心わかりませんでした。認めてくれているというか…関心がないような感じ(笑)そんな妹が家族みんなで奈良レインボーフェスタに遊びに来てくれました。その空間で終始笑顔の妹を見る事ができたのが、嬉しかったです。
輝:奈良レインボーフェスタは子どもから大人まで楽しんで来て頂けるよう、お花が綺麗な公園で開催しています。みんなで奈良に足を運んでもらいたいです!

2020年2月発行雨あがり4号「告白」掲載