
辛い恋愛を乗り越えて出会えたひとみさんとじゅんさん。お二人は付き合って9年目です。現在は同じ動物病院に勤務され、公私を支えあうパートナーとなっています。そんなお二人の出会いから今のお仕事など、あたたかい日常をお伺いしました。
しんどい恋愛を乗り越えて出会えたふたり
ひとみ:私は当時恋愛がしんどく、相談できる人が欲しくてmixiに書き込んだのが知り合ったきっかけでした。
じゅん:メッセージをして気が合いそうと思ったし、同い年で住んでいる所も近かったのでランチに行きました。
ひとみ:それまで私はセクシュアルマイノリティの友人が一人もいなかったので、会ってすぐに今までの思いを喋りましたが嫌な顔ひとつせず真剣に聞いてくれて。優しい良い子だなと思いました。
じゅん: 私はなんでも話してくれて正直な人だなと。そしてその当時の彼女さんへの思いを聞いて、一途な人だと思いました。
ひとみ :その後当時の彼女には振られてしまって。同時期にじゅんも告白した女性に振られ、慰め合いに飲みにいきました。
じゅん :一緒に行ったレズビアンバーのママに「うちら振られたんですけど、誰か良い人いないですか」って聞いたら、「二人で付き合えばいいじゃん」と言われ、そこからお互いを意識し始めました。
ひとみ:しばらくしてじゅんから呼び出されて「好きになったので付き合ってください」と。
じゅん:何て言われるかドキドキしていたんですが、無事「私で良ければ」と返事をもらいました。
ひとみ:私のこれまでの恋愛は一方的に相手を好きになるばかりでしんどかったので、今度は私を好きになってくれる人と楽な恋愛をしよう、相手を掌で転がすくらい、なんて考えていたんです。でも一緒に過ごすうちにすごく好きになってしまって、掌で転がすとか全然無理でした(笑)。かっこよくてかわいいし、こんなに自分を想ってくれる人はいない。じゅんとは24時間365日ずっと一緒にいても疲れないし楽しい。気を使わなくてもうまくいくってすごいことだなと思います。
じゅん:私も今まで浮気されたり飽きたと捨てられたり、しんどい思いをしてきました。付き合って9年になりますが一緒にいてすごく安心できています。
カミングアウトについて
ひとみ:付き合って4年位は親しい友達にしか言っていませんでした。じゅんと関西レインボーフェスタで結婚式を挙げる時に会える人には口頭で、そしてFacebook
上の全員にもカミングアウトしました。
じゅん:それまで両親に生涯一緒に暮らしていく相手と紹介はしていましたが、結婚式を挙げる前にもう一度しっかりお互いの親に伝えました。
ひとみ:友人からの反応が怖かったのですが、ほとんどの人がすごく祝福してくれて、当たり前のように受け入れてくれました。「もっと早く言ってよ」とか「男性と付き合ってるところが想像できなかった」「ひとみちゃんらしい!」と言ってもらえて嬉しかったです。ネガティブな反応は、女友達の「同性愛とか考えたことがないからよく分からない」っていうのと、男性の先輩から「ショックなんだけど」と言われたことぐらい。何がショックなのかは怖くて聞けずじまいでしたけど。
じゅん:今ではお互いのことをオープンに話せるので楽。みんな当たり前のようにパートナーとして扱ってくれています。小さな嘘をついて隠さなくなった事でこんなに生きやすくなるなんて、想像がつかなかったです。
同じ動物病院で共に勤務。公私ともに支えあえる心強い環境。
ひとみ:友人と一緒に動物病院を開業し二人でやっていたのですが忙しくなり人手が足りなくなってきたので、じゅんに手伝ってもらうようになりました。
じゅん:その時私は別の仕事をしていたので、仕事が終わってからか休みの日だけお手伝いしていました。
ひとみ:けれどさらに忙しくなって、じゅんに専従でやってくれないかとお願いし、動物病院一本で働いてもらうようになりました。
じゅん:病院で働きながら勉強して、動物看護師統一認定機構の認定動物看護師の資格も取りました。
ひとみ:職場にいる時はなあなあにならないよう、一獣医師と一動物看護師として接しています。動物病院はオンオフを分けづらい職場だと思うので、家に帰ってから仕事のことを相談できるのがありがたい。危ない状態の子を自宅で一緒に看たりもします。毎日一緒に通勤・帰宅できるのも嬉しいです。すれ違いの生活に絶対ならないです。
関西レインボーフェスタでの決意の結婚式
ひとみ:異性カップルの結婚式に行くたび、めでたくて喜ばしいんだけど私はこんな風にはできない、と思うと悲しかったです。
じゅん:前にフェスタでゲイカップルさんが結婚式を挙げてたんです。みんなに祝福されてとても幸せそうで。
ひとみ:同性カップルも結婚式を挙げて祝福してもらえるんだ、と感動しました。そしたら次の年、フェスタで結婚式を挙げないかと友人から誘われて。自分達が?と喜んで舞い上がったんですが、それは公にカミングアウトするということ。顔も名前も告知されるし、会場の扇町公園に来た人にも見られる。もし動物病院の患者さんに知られたら「あそこの獣医、レズなんだって。気持ち悪いから行くのやめよう」って言われるんじゃないかと悩みました。けれど知らないために偏見を持ってしまっている人たちに、同性愛者は身近にいると分かってもらえたら、生きやすくなる人が増えるのではと思い式を挙げる決意をしました。
じゅん:式の直前まで極限に緊張していたのですが、式が始まってからは集まって下さった方々の拍手や声が本当に暖かくて、涙がこらえられませんでした。あの瞬間が幸せすぎて何回も式を挙げたくなりました(笑)
ふたりの今後について
ひとみ:じゅんはかわいいおばあちゃんになるだろうから、ずっと一緒に生きて歳を取っていきたいですね。それと同時に、嘘をついてまで自分のことを隠さなくてもよい社会にしていきたいです。
じゅん:仕事が忙しくてなかなか二人で旅行に行けてないので、ゆっくりと旅行にいきたいです。
ふたりの「新しいこと」
ひとみ:じゅんと友人とでカラフルブランケッツというLGBTQ相互支援団体を新しく作り、今年から本格的に活動を始めました。あと運動経験はないのにフルマラソンに出ることになり、ランニングを始めました。虹色ダイバーシティさんのチャリティーランナーとして2019年の大阪マラソンに出ます!
じゅん:この春から大学に入りました。仕事をしながら通信制の大学で心理学を学んでいます。ちゃんとした知識を持って、動物病院に来る飼い主さんや、LGBT当事者の方のセクシュアリティに関する相談に乗れればと思っています。

2019年8月発行雨あがり3号「新しい」掲載