
ぼくがおっさんレンタルを始めたきっかけは、フリーランスの本業の隙間時間を少しでも有効活用したかったからなのですが、いざ始めてみると反響の大きさとレンタル内容の多様さに驚く日々です。
いわゆる普通のおっさんの場合「1時間1000円」というルールの下、引っ越しの手伝い、 買い物の荷物運び、愚痴を聞くなど、マンパワーによるものなどが多いようです。でもぼくの場合は、歌を歌う、教える、そしてLG BTサポートというザックリ3つの出来ることを打ち出しているので、そこを求めての依頼がほとんどです。「カラオケで1時間 ボイトレ」「家族の誕生日にサプ ライズで歌って」「ぼくもしかし たらゲイかも」こんな感じに。
今一番楽しくてやりがいを感じているのは、子供たちと関われるレンタルです。赤ちゃん連れの9人のママさんにカラオケのパーティールームで3時間歌ってあげるとか、同級生やお世話になっている方のお宅に伺ってお子さんに歌ってあげたり楽器を演奏してあげるとか、です。勝手に音楽シッターと呼んでいますが、なかなかしっくり来ています。
早期の情操教育としてとても良いことだと思うし、親御さんたちがぼくがゲイであることを気にせずに子供たちに関わらせてくれるのが本当に嬉しいです。
「実は友達にレズビアンがいてね」「職場でLGBTについての研修があったんだけど、その時にこんなことを感じたよ」「世の中には色んな人がいることを子供 に教えたい」こんな話がレンタルの合間に聞こえてくるにつけ、これはぼくにしかできない、ぼくにピッタリの仕事だなとつくづく実感します。
雨あがりとのご縁も、実はこのおっさんレンタルだったんですよ。ご興味ある方は、是非一度お試し下さいね。
河野陽介Kawano Yosuke-
茨城県神栖市出身。東京藝術大学卒業後、フリーランスの声楽家として各地での公演や音楽教育の場に携わる。その傍ら、自身もゲイであることを公言し、地元を中心に全国で性的マイノリティに関する活動を展開。
2017年から所属する「おっさんレンタル」では、「自らのマイノリティ性を見つめ、受け入れられた時、誰かのマイノリティ性に寄り添えるのでは」という信念を持ち、多種多様な困りごとに対応する。犬や猫が好き。
2019年2月発行雨あがり創刊号「はじまり」掲載